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診断から始めて、コストを削減した製造業の事例

2026/7/10

Carbon Neutral Blog

診断から始めると、これだけのコスト削減が見込めます

ここまでの4回にわたって、「省エネしてもコストが下がらない構造的な理由」「見落としがちな省エネの盲点」「省エネ診断で隠れたロスが数字で見えること」「補助金を活用して投資負担を抑える方法」をお伝えしてきました。

最終回となる今回は、「実際にどれくらいの効果が出るのか」という疑問に、具体的な改善のイメージでお答えします。なお、以下でご紹介するのは特定の実在企業の事例ではなく、省エネ診断で一般的に見られる改善施策を「モデルケース」として整理したものです。記載した削減額は試算に基づく目安であり、効果は設備の仕様・稼働状況・建物構造等によって異なります。

目次

事例① ── 空調の温度管理を見直しただけで、年間コストが削減に

たとえば、空調の温度管理に特段のルールを設けておらず、共用部も含めて終日同じ設定で冷暖房を稼働させている工場を考えてみましょう。

こうした工場でウォークスルー診断とヒアリングを行うと、共用部は人のいない時間帯が多いことが分かります。そこで冷房・暖房の運用を「必要最低限の時間帯に限定する」というルールに変更します。

この施策のポイントは、設備投資がゼロである点です。温度設定と運転スケジュールを見直すだけの、いわゆる「運用改善」です。それでも、年間の空調にかかる電力消費を目に見える形で削減できると考えられます。

「たかが空調の設定」と思われるかもしれません。しかし、空調は工場の電力消費の中でも大きな割合を占める設備のひとつです。温度を1度変えるだけでも消費電力は数%変わるとされており、工場全体で見ると決して小さくない金額になります。

事例② ── 廊下照明に人感センサーを設置

別のケースとして、廊下の照明が利用者の少ない時間帯にも常時点灯されている工場を考えてみましょう。省エネ診断を踏まえて人感センサーを設置し、必要な時だけ自動点灯させる運用に変更します。

照明のLED化はすでに実施済みという企業は多いですが、「点灯時間の見直し」にまで踏み込んでいるケースは意外と少ないものです。LED化によって1時間あたりの消費電力は下がっていても、不要な時間帯に点灯し続けていれば、そのぶんのコストは積み上がります。

人感センサーの設置は比較的小さな投資で実施できるため、費用対効果が高い施策のひとつです。ただし、設置場所や感知範囲の設計は現場の動線を踏まえて検討する必要があり、こうした判断には診断時の現地調査の知見が活きてきます。

事例③ ── 車両のEV化で7年間の総コストを削減

省エネ診断は工場内の設備だけでなく、社用車の運用にも目を向けます。たとえば、複数台の社用車を保有する企業がガソリン車からEV(電気自動車)への切り替えを検討するケースを見てみましょう。

EV車両はガソリン車に比べて初期費用が高くなる一方、ランニングコストが大幅に安くなるという特徴があります。特に走行距離が長い車両ほど、EVへの切り替えによるコストメリットが大きくなります。

たとえば、年間走行距離が18万kmの送迎用車両のケースでは、7年間の総費用で比較すると、ガソリン車の約770万円に対し、EV車両では約609万円と、1台あたり約161万円の削減が見込まれました。営業用車両でも、年間走行距離が長い車両ではEVの方が7年間の総費用で約96万円安くなる試算結果が出ています。

図1:EV化による7年間の総コスト比較(車両事例)

もちろん、走行距離が短い車両では必ずしもEVの方が有利とは限りません。車両の用途や走行パターンを一台ずつ分析し、どの車両から切り替えるのが最も効果的かを判断することが重要です。こうした試算も、省エネ診断の中で行うことができます。

「運用改善」と「設備更新」の組み合わせが鍵

これらの事例に共通しているのは、いずれも「省エネ診断で現状を把握し、データに基づいて施策を選んだ」という点です。コスト削減の施策は、大きく3つの段階に分けて考えることができます。

図2:3段階のコスト削減アプローチ

第一段階は「即時実行・原則無投資」の運用改善です。空調の温度設定・運転時間の見直し、不要機器の停止ルール化、デマンド監視によるピークカットなどがこれに該当します。コストをかけずにすぐ始められるため、まず最初に取り組むべき領域です。

第二段階は「小規模な投資」による改善です。人感センサーの設置、小型の高効率機器への部分更新、LED化の追加対応などが挙げられます。投資額が比較的小さく、回収期間も短い施策です。

第三段階は「中長期的な設備更新」です。空調や冷凍冷蔵設備の大規模省エネ改修、EV車両の導入、太陽光発電の設置などが該当します。この段階では、前回ご紹介した省エネ補助金の活用が、投資判断の大きな後押しになります。

重要なのは、これらを「単発の施策」ではなく、自社の状況に合わせて段階的に組み合わせることです。そして、一度きりで終わらせず、定着させていくことが、長期的なコスト削減につながります。

シリーズのまとめ ── 「測る」「知る」「実行する」「続ける」

5回にわたってお伝えしてきたこのシリーズを、改めて振り返ってみます。

第1回では、省エネに取り組んでもコストが下がらない背景に、エネルギー単価の構造的な高騰があることをお伝えしました。第2回では、「やり切った」と思っている省エネにも、デマンド管理や力率、待機電力といった見えにくい盲点があることをご紹介しました。第3回では、省エネ診断によってそうした隠れたロスが数字で見えるようになること、第4回では補助金を活用することで設備更新の投資ハードルを下げられることをお話ししました。

そして今回、診断をきっかけにどれだけのコスト削減が見込めるのかを、モデルケースでご紹介しました。

エネルギーコストの削減は、一朝一夕で完了するものではありません。しかし、「測る」「知る」「実行する」「続ける」というステップを着実に進めていくことで、確実に成果を出すことができます。大切なのは、最初の一歩を踏み出すことです。

「あなたの工場にも、まだ眠っているロスがあるかもしれません」──まずは自社のエネルギー使用状況を専門家に見てもらうことから始めてみてはいかがでしょうか。


エネルギーコスト削減、まずは現状把握から。

「まずは現状を整理したい」という段階から対応しています。

アークエル株式会社の「エネルギーコスト削減支援パッケージ」は、エネルギーデータの計測・省エネ診断から、改善施策の立案・費用対効果試算・補助金の調査、運用現場への定着支援まで、最大1年間、専門コンサルタントが伴走します。電力契約の見直しや運用改善といった“今すぐできること”から、必要に応じた設備更新まで、御社の状況に合わせて無理のないコスト削減をご提案します。

無料相談を受け付けています。お問い合わせフォームから「エネルギーコストを削減したい」を選び、お気軽にご相談ください。

出典一覧

※本記事中の事例データは、省エネ診断の改善施策として一般的に見られるケースに基づき構成しています。具体的な削減効果は、設備の仕様・稼働状況・建物構造等により異なります。EV車両導入試算はAAKELコスト削減パッケージDL資料に基づきます。

シリーズ一覧

第1回:なぜコストが下がらないのか?
第2回:「やり切った」省エネに、まだ見えていない盲点があります
第3回:省エネ診断で工場の「隠れたロス」を見つける方法
第4回:省エネ診断にも使える補助金、知らないと損する最新情報
第5回:診断から始めて、コストを削減した製造業の事例(本記事)

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