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省エネ診断で工場の「隠れたロス」を見つける方法

2026/6/26

Carbon Neutral Blog

省エネ診断で、工場の隠れたロスが数字で見えます

前回の記事では、「やり切った」と思っている省エネにも、契約電力の仕組みや待機電力、力率など、意外と見えていない盲点があるというお話をしました。

では、そうした”隠れたロス”をどうやって見つければいいのでしょうか。

その答えのひとつが「省エネ診断」です。

名前は聞いたことがあっても、「具体的に何をするのかよく分からない」「大企業向けの話でしょう?」と思っている方もいらっしゃるかもしれません。今回は、省エネ診断の中身と、そこから見えてくるものについてお伝えしたいと思います。

目次

省エネ診断とは何をするのか

省エネ診断とは、エネルギーの専門家が工場や事業所を訪問し、エネルギーの使い方を調査・分析して、改善点を提案するものです。診断の基本的な流れは、大きく3つのステップに分けられます。

図1:省エネ診断の3ステップフロー

まず「ヒアリングと事前データの確認」です。過去の電力使用量データや設備一覧、操業スケジュールなどの情報を整理し、現状を把握します。電力会社からの請求明細や、設備の仕様書があれば、この段階でかなりのことが分かります。

次に「ウォークスルー診断」です。これは、専門家が実際に工場内を歩いて回り、設備の稼働状況や運用の実態を目で見て確認する作業です。図面やデータだけでは分からない、現場ならではの気づきが得られるのがこのステップの大きな特徴です。たとえば、「使っていない設備の電源が入りっぱなしになっている」「空調の吹き出し口が荷物でふさがれている」といった発見は、現場を歩いて初めて見つかるものです。

そして「計測データの分析と改善提案」です。必要に応じて計測機器を設置し、設備ごと・時間帯ごとのエネルギー使用状況を数値で把握します。収集したデータをもとに、どこにどれだけのロスがあり、どのような改善策が考えられるかを具体的にレポートとしてまとめます。

資源エネルギー庁では、令和7年度補正予算による「中小企業等エネルギー利用最適化推進事業」を通じて、2026年度も中小企業が省エネ診断を受けられる体制が整えられています。従来のウォークスルー診断に加えて、計測機器を使った「IT診断」も追加されており、より精度の高い分析ができるようになっています。 (参考:SII「省エネ診断」

診断で見つかる「隠れたロス」の具体例

省エネ診断で実際に指摘されることが多いポイントを、いくつかの例で見てみましょう。

図2:省エネ診断で見つかる主な改善ポイント(4分類)

空調の温度管理と運転スケジュール


共用部や倉庫の空調が、人のいない時間帯にも稼働し続けているケースは非常に多く見られます。ウォークスルー診断でヒアリングを行うと、「共用部は人がいない時間が多い」ことが分かり、冷暖房の使用を最低限にするだけで電力消費を削減できる場合があります。空調の設定温度を1度変えるだけでも、消費電力は数%変わるとされています。

照明の使い方


廊下や通路、倉庫の照明が、利用者が少ない時間帯も常時点灯になっていることがあります。人感センサーを設置して必要時のみ点灯させる運用に変更すれば、該当箇所の照明電力を大幅に削減できます。

コンプレッサーのエア漏れ


工場で圧縮空気を使用している場合、配管の接続部や老朽化した部分からのエア漏れが発生していることがあります。このエア漏れは、音が小さく目にも見えないため、日常的に気づきにくい”隠れたロス”の代表格です。エア漏れの量が大きいと、コンプレッサーが余計に稼働することになり、電力消費が無駄に増加します。

デマンドピークの特定


計測データを分析すると、「何曜日の何時にデマンドがピークになるか」が分かります。原因が特定できれば、設備の起動タイミングをずらすなどの対策が打てます。設備投資なしで契約電力(=基本料金)を下げられる可能性があるのです。

「数字で見える」ことの意味

省エネ診断の最も大きな価値は、「なんとなくもったいない」という感覚を「ここに年間○○万円分のロスがある」という数字に変えてくれることです。

数字になれば、改善の優先順位がつけられます。「まずはコストゼロでできる運用改善から着手し、次に投資回収が早い施策に取り組み、大きな設備更新は補助金を活用しながら計画的に進める」──という段階的なアプローチが組み立てられるようになります。

逆に言えば、データがなければ「何から手をつけていいか分からない」のは当然のことです。省エネ診断は、その「最初の一歩」を踏み出すための手段だと言えます。

診断を受けるハードルは、思ったより低い

「省エネ診断」と聞くと、大がかりで費用もかかるイメージを持たれるかもしれません。しかし、一般財団法人省エネルギーセンターが運営する省エネ診断サービス(正式名称:「省エネ最適化診断」)は、中小企業を対象に提供されており、ウォークスルー診断は無料で受診できるケースもあります。

また、資源エネルギー庁の省エネポータルサイトでは、診断の申し込み方法や対象要件が分かりやすく案内されています。「自社が対象になるのか分からない」という場合でも、まずは問い合わせてみることをおすすめします。

診断後に「もう少し詳しい分析をしたい」「改善施策の実行まで支援してほしい」という場合には、診断機関による伴走支援を受けることも可能です。診断で終わりにせず、その先の実行・定着まで見据えた支援体制が整いつつあります。

まとめ:まずは「測る」ことから

省エネの盲点を見つけるには、まず現状を正確に測ることが出発点です。ウォークスルーで現場の実態を確認し、計測データで数字として把握する。そこから初めて、自社に合った改善策が見えてきます。

ただし、診断で見つかった改善策の中には、設備の更新や入れ替えが必要なものも出てくるでしょう。「効果は分かったけれど、投資費用が……」という声をよく耳にします。次回の記事では、そうした設備更新や省エネ投資に活用できる補助金について、最新の情報をお伝えします。


エネルギーコスト削減、まずは現状把握から。

「まず自社の現状(隠れたロス)を数字で知りたい」という段階からでも大丈夫です。

アークエル株式会社の「エネルギーコスト削減支援パッケージ」は、エネルギーデータの計測・省エネ診断から、改善施策の立案・費用対効果試算・補助金の調査、運用現場への定着支援まで、最大1年間、専門コンサルタントが伴走します。電力契約の見直しや運用改善といった“今すぐできること”から、必要に応じた設備更新まで、御社の状況に合わせて無理のないコスト削減をご提案します。

無料相談を受け付けています。お問い合わせフォームから「エネルギーコストを削減したい」を選び、お気軽にご相談ください。

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