近年、欧州ではEVへの移行が戦略的な最重要課題のひとつとなっており、厳しい規制と多くの公的投資によって後押しされています。
欧州委員会は、「European Economic Recovery Plan」の「Green Car Initiative」の中で、交通の電動化を2000年代後半から優先事項と位置づけており、これは単なる技術的取り組みではなく、欧州全体のエネルギーおよび産業政策の一環として進められています。この長期的な取り組みは、モビリティの脱炭素化とクリーンテクノロジー分野での競争力強化という欧州の戦略的ビジョンを反映したものです。
2019年に欧州委員会で提示された「European Green Deal」ではCO2排出削減目標の達成に向けて、全加盟国において進捗が継続的に監視されています。
2030年:55% 削減
2040年:90% 削減
2050年:100% 削減(カーボンニュートラル)
公共投資の面では、EVへの移行を支援するために複数の取り組みが実施されています。
2008年「European Economic Recovery Plan」では、2,000億ユーロ(約32兆円)規模の予算が組まれ、クリーンモビリティ(環境にやさしい移動手段)に対する本格的な資金提供が初めて実施
2011年「Green eMotion」では、4,180万ユーロ(約68億円)規模のプログラムで、EVの普及に向けた知識や技術の共有、国境を越えた実証プロジェクトの展開などを目的とし、欧州全体で共通のEVに関する規格を設定
また、欧州議会※によるEVに関する規定では、主に技術の最適化と市場開発に焦点を当てています。特に、バッテリーの耐久性向上、軽量化とコスト削減、安全性の強化、そして充電インフラの整備が重視されています。
最先端の技術やバッテリー構造、さらにその用途、とくに小型車での使用を踏まえたうえで、すべての車両カテゴリーにおける走行距離やバッテリー寿命などの基準を考慮したバッテリーの最低性能要件の遵守
使用済みバッテリーの管理については、生産者に責任を課す
欧州投資銀行(EIB)と提携し、InvestEUプログラムの一環としてEUイノベーション基金から2億ユーロ(約320億円)の資金を提供。さらに、このEUイノベーション基金を通じて、EV用バッテリーセルの製造プロジェクトを支援するために、追加で10億ユーロ(約1,600億円)の補助金も用意
リサイクルやサーキュラーエコノミーの取り組みを通じて、持続可能なバッテリーバリューチェーンの構築も支援
※ 欧州委員会と欧州議会の比較

欧州の政策や公共投資によりEVの普及は着実に進み、2024年は約1,000万台(EV保有比率 3.81%)となりました。これは2020年の約240万台(0.96%)の4倍以上です。
この拡大は単なる技術の進歩だけでなく、モビリティ(移動手段)、エネルギー、持続可能性がどのように結びついているかという、欧州社会全体の構造的な変化をも示しています。


出典:Eurostat※、日本自動車販売協会連合会、全国軽自動車協会連合会のデータを元にしてアークエル株式会社が作成
※ Eurostat:1950年代初頭から活動している欧州で最も歴史ある機関の一つであり、ヨーロッパ統合の発展に長年貢献
欧州各国と協力しながら、統一された手順に基づいて統計データを開発・作成・発信
欧州全体の統計の調整役としての機能
欧州全体では、2020年から2024年の5年間でEVの導入が420%以上増加しました。その中でもノルウェー、アイスランド、デンマーク、スウェーデン、フィンランド、アイルランドが他国に比べてEV移行を積極的に取り組んでいます。
特にノルウェーは2024年にEV保有比率が34.47%に達し、ヨーロッパにおけるEV移行のリーダーとしての地位を確立しました。ノルウェー政府は1990年からEVに対する購入税および輸入税の免除を導入しており、その他にも優遇措置が実施されています。
新設駐車場:6%以上のスペースをEV専用にすることを義務付け
急速充電ネットワーク:主要道路には50kmごとに充電ステーションを設置義務
充電アクセス:国が提供するチップ型プログラムにより、公共充電ステーションへの広範かつ低コストのアクセスが可能
複数オペレーターの充電ネットワークにシームレスにアクセス可能
会員は通常よりも割引価格で充電可能
チップのRFID機能を使用して、簡易に決済可能
欧州では政策・規制・投資が一体となったEV移行が加速し、この取り組みは日本にとっても参考になる内容となっています。
日本においてもEVや充電インフラに対する制度や補助金があり、日本のEV保有台数やEV保有比率も着実に伸びてきています。EV保有台数やEV保有比率から比較しても、ノルウェーやドイツとは差がありますが、他の欧州の国々とはそこまで大きな差ではありません。
ノルウェーのような新設駐車場、急速充電ネットワーク、充電アクセスの取り組みが、今後の日本におけるEV普及への新しい制度や規制への参考になることを期待しています。
EVやEV充電器の導入を考える上で、日本においては、欧州各国との電力政策や規制や市場ルールが異なります。
アークエル株式会社では、法人基礎充電(バス・タクシー・トラック・社有車・営業車)における多様なニーズに対して、複数拠点・大規模EV台数拠点の複数年商用運用をしております。また、電力に関する豊富な知見を有し、さまざまな課題に対してソリューションをご提案することが可能です。
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出典:eurostat、日本自動車販売協会連合会、全国軽自動車協会連合会のデータを元にしてアークエル株式会社が作成
欧州議会:REGULATION (EU) 2024/1257 OF THE EUROPEAN PARLIAMENT AND OF THE COUNCIL:https://statics.teams.cdn.office.net/evergreen-assets/safelinks/2/atp-safelinks.html
欧州議会:REGULATION (EU) 2023/1542 OF THE EUROPEAN PARLIAMENT AND OF THE COUNCIL:https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/PDF/?uri=CELEX%3A32023R1542+&utm
欧州議会:REGULATION (EU) 2023/1542 OF THE EUROPEAN PARLIAMENT AND OF THE COUNCIL:https://data.consilium.europa.eu/doc/document/PE-2-2023-INIT/en/pdf
欧州議会:InvestEU Programme:https://www.eib.org/en/press/all/2024-484-european-commission-and-eib-announce-new-partnership-to-support-investments-in-the-european-battery-manufacturing-value-chain?utm
Eurostat:https://ec.europa.eu/eurostat/databrowser/view/road_eqs_carpda/default/table?lang=en
一般社団法人 日本自動車販売協会連合会:https://www.jada.or.jp/pages/342/?closeuser=7c4a8d09ca3762af61e59520943dc26494f8941b
一般社団法人 全国軽自動車協会連合会:https://www.zenkeijikyo.or.jp/statistics
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