CDPは2027年の情報開示サイクルについて、受付開始・各種締切の大幅な前倒しを公式に発表しています。
この変更はすでに環境系の専門メディアでも取り上げられており、多くの企業にとって対応が急がれるテーマになっています。
これまで気候変動でAスコアを維持・獲得してきた企業であっても、「例年通りのスケジュール感」で準備を進めると、気づいたときには回答期間が終わっていた、という事態になりかねません。
本記事では、アークエルがCDP公式の認定ソリューションプロバイダー(ASP)として企業のCDP対応を支援してきた知見をもとに、2027年に向けたスケジュール前倒しの具体的な内容と、実務上どこに手を打つべきかを整理します。
CDP公式「Disclosure 2027」によると、2027年サイクルの日程は次のとおりです。

2027年はスコアリング対象の回答提出期限が9月中旬から7月下旬に移り、2026年と比べて約2か月前倒しになります。回答期間(回答開始からスコアリング対象の回答提出期限まで)は約13週間で2026年とほぼ変わらず、期間全体がそのまま前にずれる形です。
取引先からCDPへの回答を求められる立場の企業(サプライチェーン上のサプライヤー側)は、回答要請機関によるリクエストリストの提出が2月下旬から始まる点にも注意が必要です。
これまで4〜5月頃に顧客企業(回答要請機関)から「CDPに回答してほしい」という依頼を受けていた企業は、その依頼自体が約2か月早まる可能性があります。
ここで見落としがちなのは、締切が早まったからといって、Scope1・2・3のデータが揃うタイミング自体が早まるわけではない、という点です。3月決算の企業であれば、Scope1〜3の排出量データが社内で確定するのは4月以降になるケースが多く、ここは2027年も変わりません。
圧縮されるのは、データが揃った後の「整理・レビュー・質問書への落とし込み」という工程です。
つまり2027年サイクルでは、回答期間を「一から質問書を作成する期間」ではなく「事前に準備した内容をレビューする期間」に変えていけるかどうかが、間に合わせられるかの分かれ目になります。
前年の回答内容や根拠資料を早めに整理し直しておく、社内の回答プロセスを特定の担当者に依存させず標準化しておく、といった準備は、受付開始前の今の時期にしかできません。
逆に言えば、受付開始の4月以降に慌てて準備を始めても、短縮された回答期間の中では挽回が難しくなります。
あわせて、3月決算企業の場合は有価証券報告書の作成やSSBJ基準への対応、GHG排出量の第三者保証、株主総会といった業務が例年通りのタイミングで重なってくるため、CDP対応だけを前倒ししても、社内のリソース配分自体がボトルネックになりやすい点にも注意が必要です。
具体的に着手しやすいのは、次の3点です。
いずれも受付開始の4月以降では着手が遅く、今の時期だからこそ効果があります。
特定分野への投資拡大をきっかけに、サプライチェーンへの参加企業が増える動きは全国各地で起きていますが、ここでは具体的なイメージを持ちやすいよう、九州エリアを例に見ていきます。
九州エリアでは、熊本のTSMC進出※を起点に、半導体関連のサプライチェーンに加わる地場企業が増えています。
帝国データバンクの調査(2024年4月発表)によれば、TSMCと取引のある企業は全国で471社、エリア別では九州が153社と全国2番目に多くなっています。
一方で、2年前からの増加率は九州が4.1%、関東が18.0%と差があり、九州におけるサプライチェーンへの参入自体に一定のハードルがあることがうかがえます。

半導体業界の大手顧客企業は、サプライヤーに対する環境情報開示の要請水準が高い傾向にあります。
例えばTSMCは自社ESG資料「2025 Sustainability Report」の中で、調達支出額の75%を占める主要サプライヤーに対し、CDPへの参加と平均Bスコア以上の獲得を求める方針を示しています。
つまり、九州の地場企業であっても、取引が拡大すれば同様の要請を受ける可能性があるということです。
こうした供給網への参入・取引拡大を目指す企業にとって、CDP回答や排出量データを早期に整備しておくことは、取引拡大の差別化材料にもなり得ます。

例年Aスコアを獲得している企業などにおいても毎年の継続対応が前提になるため、前年の仕組みをそのまま使い回すのではなく、前倒しされた日程に合わせて社内の準備工程自体を見直す必要があります。
新規にCDP回答を始める企業にとっても、既存の回答企業にとっても、「取引先から言われてから動く」のではなく、スケジュールが公表された今の段階から社内の準備体制を点検しておくことが、2027年を乗り切るための最初の一歩になります。
CDP2027の対応に向けて、スケジュール設計や社内体制づくりでお困りの場合は、お気軽にアークエル株式会社までご相談ください。
これから排出量算定に取り組む企業に向けて、社内向けセミナーやヒアリングを通じた現状整理から、自社ツール「AAKEL eCarbon」を使ったScope1・2・3の算定・可視化までを支援いたします。
算定に必要なデータが揃っていない場合でも、必要なデータの特定や収集方法の構築段階からサポートするため、「何から手をつければよいか分からない」という状態からでも着手いただけます。
CDP認定ソリューションプロバイダー(ASP)として、CDP質問書への回答準備から次年度に向けた改善計画まで、脱炭素・ESG・エネルギー分野の専門資格を持つコンサルタントが年間を通じて伴走支援いたします。
回答方針書の作成や回答文の添削、CDPポータルの操作説明に加え、スコア確認後の減点ポイントの整理・改善提案まで一貫してサポートします。
2027年サイクルはスケジュールが大幅に前倒しになります。
算定の土台づくりから回答対応まで、お気軽にご相談ください。
CDP2026開示サイクル
https://www.cdp.net/ja/disclosure-2026
CDP2027開示サイクル
https://www.cdp.net/ja/disclosure-2027
株式会社帝国データバンク「『TSMC』関連取引、社数2年で1割増 地元『九州』は微増 取引企業は関東地方に集中」2024年4月10日
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000850.000043465.html
マイナビTECH+「TSMCの熊本第2工場での3nmプロセス製造を台湾当局が承認、2028年からの量産を計画」2026年4月1日
https://news.mynavi.jp/techplus/article/20260401-4284892/
TSMC「2025 Sustainability Report」A Responsible Purchaser章(p.72)
https://esg.tsmc.com/file/public/e-AResponsiblePurchaser_1.pdf