「電気代の対策はしているけれど、水道代までは手が回っていない」「毎月の水道料金はこんなものだと思っている」——工場や施設の管理者から、よくこうした声をお聞きします。
水道は電気に比べて、省エネの話題に上がりにくい分野です。しかし実際の省エネ診断の現場では、ほぼ費用をかけずに経費を削減できる「見えないムダ」がたびたび見つかります。
今回は、診断士が給排水設備で実際に確認している3つのポイントを解説します。
建物の給水方式には、水道の圧力をそのまま使う「水道直結方式」、屋上タンクから重力で送る「高架水槽方式」、ポンプで直接送る「ポンプ直送方式」などがあります。
ポンプを使う方式はエネルギーを消費しますが、現在ではほとんどのポンプがインバータ化されています。そのため、新たな省エネ余地は大きくありません。
診断では、まずポンプがインバータ化されているかを確認します。済んでいれば、給排水は「省エネ」ではなく「経費削減」の視点で見ていきます。
ここからは、いずれも水道料金そのものを下げる対策です。
手軽にできる対策の代表が、台所や洗面所の蛇口に取り付ける節水コマです。流量を最大で半分程度まで抑えられるため、手洗いや洗い物など蛇口を使う機会が多い施設ほど効果が大きくなります。
取り付けは蛇口内部の部品を交換するだけで、工事も不要です。
効果を見積もる際は、上水道だけでなく下水道の料金も合わせて考えるのがポイントです。水の使用量が減ると、上水道と下水道の両方の料金が下がります。
部品代も比較的安価なので、短期間で元が取れる対策です。

女性トイレでは、音を消すための「空流し」が1回の使用で平均2.5回程度行われるとされています。擬音装置を設置してこれを1回に減らせると、水の使用量は大きく下がります。
また、工場や学校に多いフラッシュバルブ式の大便器は、内部のネジを調整するだけで洗浄水量を減らせる場合があります。設備を入れ替えなくてもできる対策なので、あわせて確認しておきたいポイントです。
ただし、洗浄水量を減らしすぎると詰まりの原因になるため、衛生上必要な水量は確保してください。
見落とされやすいのが下水道料金の減免制度です。
水道で使った水の中には、下水道に流れないものがあります。代表的なのは次のような用途です。
冷却塔で蒸発する水
ボイラーで蒸気になる水
芝生や植栽への散水
プールの補充水
これらの水量は、自治体に申請すれば下水道料金が減免される場合があります。
申請の基本的な流れは次のとおりです。
自治体の下水道局に制度の有無を確認する
対象設備の補給水量を計るメーターを設置する
系統図・配置図・写真を準備する
所定の申請書を提出する
認定されると、翌月から減免が適用されます。メーターがない場合でも、計算式による概算で申請できる自治体もあります。
たとえば冷却塔の補給水量は、冷却水量のおよそ2%が目安です。冷却塔やボイラーがある施設で未申請であれば、ぜひ確認したい項目です。
もっとも多いのは、「水道料金は固定費」と考えて見直しの対象から外してしまうことです。
また、下水道料金の減免は申請しなければ適用されない制度です。そのため、対象設備がありながら何年も見過ごされている施設が少なくありません。
見直しの第一歩として、まずは水道料金の検針票(1年分)を揃えましょう。使用量の推移や季節変動が分かり、削減額の試算がしやすくなります。
減免申請を検討する場合は、冷却塔やボイラーまわりの給排水の系統図もあると話がスムーズに進みます。
水道のムダは目立ちにくい一方で、節水コマや擬音装置の設置、洗浄水量の調整、減免申請など、低コストで確実に効果が出る対策が揃っている分野です。
特に下水道料金の減免は、申請するだけで効果が出る対策です。まずは自社の検針票を確認するところから始めてみてください。
アークエル株式会社では、電気だけでなく給排水設備まで含めた省エネ診断を行い、削減額の試算から改善提案まで一貫してサポートしています。
「水道代にどれくらいムダがあるか知りたい」という段階でも構いませんので、お問い合わせフォームからお気軽にご相談ください。