「省エネには気を配ってきたつもりだ。こまめに消灯もしているし、空調の温度も決めている。それなのに、電気代は一向に下がらない」──エネルギーコストの上昇に頭を悩ませる経営者や総務・財務のご担当者から、よくお聞きする声です。努力が結果に結びつかないとき、原因は「やり方」ではなく「どこに手を打つか」にあることがほとんどです。本当にムダが大きいのはどの設備なのか、それを自社の感覚だけで見抜くのは簡単ではありません。
本記事は、エネルギーコスト削減の進め方を全4回でお伝えするシリーズの第1回です。
第1回は出発点となる「省エネ診断」、第2回は「省エネ診断で何が分かるか」、第3回は「省エネ診断で見つけた設備を補助金で更新する方法」、第4回は「補助金の期限と準備の進め方」をお届けします。
まずは、エネルギーコスト削減の第一歩がなぜ「省エネ診断」なのかを整理します。

図1:エネルギーコスト削減は4ステップで進む(全4回シリーズの流れ)
こまめな消灯、空調の温度設定、不要な機器の電源オフ──こうした運用の工夫は確かに効果がありますが、削減できる幅には限りがあります。
電気代の大きな部分を占めるのは、多くの場合、空調・ボイラー・ポンプ・コンプレッサといった「動力設備」だからです。
これらの設備が、どんな使われ方で、どれだけのエネルギーを消費し、どこにムダが生じているか──ここは、現場を見ただけ・請求書を眺めただけでは見抜けません。
しかも、設備のムダは「目に見えない」かたちで起きています。
圧縮空気の配管からのわずかな漏れ、ボイラーの空気の入れすぎ、保温が不十分な蒸気配管からの熱の逃げ、誰も使っていない時間帯の過剰な運転、誰も使っていない時間帯の過剰な運転、空調の室内機・室外機のメンテナンス不足、20年以上使い続けているトランスの経年劣化──いずれも、日々の業務のなかで気づくのは困難です。
「やれることはやった」という実感と、「まだ大きなムダが残っている」という事実が両立してしまうのは、このためです。
そこで使えるのが、エネルギーの専門家に現場を見てもらう省エネ診断です。
専門家が工場や事業所を訪れ、電気・燃料の使われ方を調べて、ムダの所在と改善策を「削減額・投資額・回収年数つき」で報告してくれる、国の補助事業です。
診断には大きく2つの方法があります。
専門家が現場を歩いて設備の状態を確認するウォークスルー診断と、計測機器を取り付けてエネルギーの使われ方を詳しく見える化するIT診断です。
いずれも社内の手間は受診当日の立ち会いが中心で、申込みはWebで完結します。「準備に何週間もかかる」といった負担はありません。

図2:省エネ診断の種類と費用感
省エネ診断のいちばんの特徴は、国の補助によって低コストで受けられることです。
診断費用の9割を国が負担するため、利用者の自己負担はウォークスルー診断で1設備あたり6,006円(税込)から、より詳しいIT診断でも最大220,000円(税込)程度です。
なお、これとは別に、自治体が独自の補助制度を用意しているケースもあります。たとえば福岡市では、市独自の制度として専門家を無料派遣する診断(正式名称:省エネ最適化診断)を利用できます。
ここで、ひとつ大事な整理をしておきます。
この「診断を安く受けられる制度」と、後の回で扱う「設備の入れ替え費用を補助する制度(設備更新の補助金)」は、まったく別の制度です。
診断の補助は、あくまで“現場を見てもらう診断そのもの”に対するもので、設備を買い替えるお金の補助ではありません。
混同されやすいので、まずは「省エネ診断=入口、設備更新の補助金=出口」と覚えておいてください。
数百万円規模の設備投資を判断する材料が、1設備あたり数千円から手に入る──意思決定のための「保険」として、これほど割安なものはありません。
社長や経営層に投資を説明する場面でも、「専門家が現場を計測したうえで出した数字」は、自社の感覚値とは説得力がまるで違います。
では、診断は具体的にどんなムダを見つけてくれるのでしょうか。代表的なものを整理すると、自己流の点検では見落としやすい箇所ばかりだと分かります。

図3:自己流では気づきにくい、代表的なムダの所在
圧縮空気のエア漏れ、ボイラーの空気比(燃焼に使う空気の量)の過剰、稼働していない時間帯の設備の運転、蒸気配管・タンクの保温不足、そして自社の使い方に合っていない電力契約・料金メニュー──これらはいずれも、専門家が数字で示してはじめて「ムダ」として認識できるものです。
逆に言えば、診断を受ければ、こうした見えないムダが「金額」として可視化され、優先して手をつけるべき順番まで分かります。
自己流の省エネには限界があり、電気代の大きな部分を占める動力設備のムダは、感覚では見抜きにくい
省エネ診断は、専門家が現場のムダを「削減額・投資額・回収年数つき」で報告してくれる国の補助事業
国の補助で自己負担は1割(ウォークスルー診断は1設備6,006円(税込)〜)、自治体によっては独自の補助を設けているところもある
省エネ診断を受ければ、エア漏れ・空気比・過剰運転・保温不足・契約のミスマッチといった「見えないムダ」が金額で可視化される
エネルギーコスト削減は、気合や根性で電気を削ることではありません。どこにムダがあるかを正しく把握することが、確実な第一歩です。
次回は、その省エネ診断を受けると具体的に何が分かるのか──「更新すべき設備」がどう見えてくるのかを、実際の事例の数字とともに掘り下げます。
電気代のムダ、まずは「見える化」から始めませんか。
「何から手をつければいいか分からない」という段階からご相談いただけます。
アークエル株式会社は、補助金を活用した省エネ診断(ウォークスルー診断/IT診断)から、診断後の改善施策のご提案・補助金申請のサポート・設備更新後の効果検証まで、一気通貫でご支援します。
特定のメーカーやエネルギー会社に依存しない中立的な立場で、御社の状況に合った無理のないコスト削減をご提案します。
無料相談を受け付けています。お問い合わせフォームから「エネルギーコストを削減したい」を選び、お気軽にご相談ください。
※本記事の自己負担額・補助率等は2026年7月時点の公表情報に基づきます。制度内容は変動するため、申込み前に必ず各制度の公式サイトで最新情報をご確認ください。
第一回目:なぜ電気代は下がらないのか──まず省エネ診断から始める(本記事)
第二回目:省エネ診断で何が分かるのか──更新すべき設備が見えてくる(近日公開予定)
第三回目:診断で見つかった設備を、補助金で更新する──初期費用を抑えるコツ(近日公開予定)
第四回目:補助金には期限がある──動くなら今、準備の進め方(近日公開予定)