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マドリード市に学ぶEVバス導入の最適解:補助金制度とスマート充電が支える「公共交通の脱炭素化」

2026/2/20

EV Blog

EMTマドリードのEVバス導入

2025年3月、EMTマドリード(マドリード市交通公社)は、市内約250路線のうち40路線にEVバスを導入しました。これは全体の約16%に相当します。同社は2008年からEVバスの導入を段階的に進めており、2025年には保有台数が452台に達し、全体の20.41%を占めています。

EMTマドリード
1947年設立。マドリード市の公共交通を運営する市営企業。

出典:EMTマドリードのデータをもとにアークエル株式会社が作成

同社が2025年3月に導入したEVバスは、BYD(K9UB)、Solaris(Urbino 9)、Irizar(IeBUS)の3車種です。いずれもプラグ充電およびパンタグラフ充電に対応しています。

BYD K9UB(中国ブランド/生産国:ハンガリー)

  • サイズ:12,200mm × 2,550mm × 3,300mm

  • 航続距離:450km

  • バッテリー容量:422kWh

Solaris Urbino 9(ポーランド)

  • サイズ:9,270mm × 2,450mm × 3,300mm

  • 航続距離:200km

  • バッテリー容量:350kWh

Irizar IeBUS(スペイン)

  • サイズ:12,160mm × 2,550mm × 3,300mm

  • 航続距離:400km

  • バッテリー容量:430kWh

EVバスの導入拡大に伴い、充電インフラの整備も不可欠となっています。そのため同社は営業所の改修および新設を進め、パンタグラフ充電とプラグイン充電の双方に対応する設備を2023年より順次導入しています。2025年2月時点で、約300基の充電器を設置しています。

また、複数台を同時に充電すると電力ピークが発生し、電力網への負荷増大や電力コストの上昇につながる可能性があります。この課題に対応するため、同社はETRALUXのスマート充電システムを導入しました。電力料金に応じて充電を自動制御し、再生可能エネルギーの活用を最大化しています。

ETRALUX

  • 1980年設立。エネルギーインフラおよびEV向けスマート充電のテクノロジーソリューションを専門とするスペイン企業。

  • エネルギーのインテリジェント管理システムや、EV充電の高度な統合管理に強みを持つ。EMTマドリードに対して、スマート充電プラットフォーム「ELECTRA」を提供。

  • ELECTRAは、ピークカットやピークシフトなどの最適化アルゴリズムを活用するソフトウェア。複数メーカーの充電器やパンタグラフ充電器と相互運用が可能であり、太陽光発電やSCADA(産業用監視制御システム)などのエネルギーシステムとも統合管理できる。

また、同社は2025年に使用済みEVバスバッテリーを定置型蓄電プロジェクトで再利用する取り組みを開始しました。これにより、バッテリー交換コストの削減も進めています。

マドリード市のMadrid 360戦略

マドリード市は2019年に「Madrid 360」を開始しました。これは、NOxやその他の大気汚染物質の削減と都市の持続可能性向上を目的とした環境・都市モビリティ戦略です。規制、経済的インセンティブ、インフラ投資を組み合わせた包括的な取り組みとなっています。

ZBE(低排出ゾーン)

マドリード市全域がZBEに指定されています。環境ラベルのない高排出車両に対する規制は、2022年1月1日から2025年まで段階的に適用されています。市内登録の環境ラベル未取得車両については、2026年12月31日まで猶予期間が設けられています。さらに、Centro(中心部)およびPlaza Elíptica(エリプティカ広場)の2地域は特別保護ZBEに指定されています。ZBEで規制に違反した場合の罰金は200ユーロ(約34,000円)です。

車両更新インセンティブ

支援策は「Plan de Ayudas Cambia 360」です。総額2,330万ユーロ(約39億6,000万円)の予算が確保されています。既存バスの廃車に対しては、1台あたり最大12,000ユーロ(約204万円)の補助が支給されます。

EMTマドリードによるEVバス導入は、この戦略の一環として位置づけられています。CO2排出量の削減と都市モビリティの再編を目的とし、公共交通の高度化を進めるための戦略的枠組みです。マドリード市が排出削減と都市変革の目標を掲げ、同社が公共交通の実行主体としてその実現を担っています。

スペインにおけるEVバスの現状

スペインではEVバスの導入が着実に進んでいます。2020年には297台(7.40%)でしたが、2025年には2,155台(35.79%)にまで拡大しました。

出典:ヨーロッパデータベースのデータをもとにアークエル株式会社が作成

スペインでは、EVバスの導入拡大を後押しする複数の支援プログラムが整備されており、その結果としてEVバスの台数は着実に増加しています。EMTマドリードは、マドリード市のMadrid 360戦略に加え、スペイン政府の各種支援制度も活用しています。

MOVES

  • 2019年開始。2025年12月31日まで延長され、EVバスの購入および車庫への充電インフラ設置を支援。

  • 当初予算は15億ユーロ(約2,550億円)。2025年にさらに4億ユーロ(約680億円)が追加。

  • 企業向けに充電インフラ費用の最大40~50%を補助。

  • 2024年以降、出力22kW以下の充電ポイントにはEVスマート充電システムの導入が義務化。

Auto+プログラム

  • 2026年1月開始。2025年まで実施されたMOVESの後継制度。2026年までに4億ユーロ(約680億円)の予算を確保。

  • EU域内で製造されたEVバスに対して補助額を上乗せ(最大4,500ユーロ:約71万5,000円)。EU域内メーカーを優遇する仕組み。

「Transformación de Flotas」プログラム(RD 983/2021およびRD 204/2025)

  • 2021年11月開始。2025年12月31日までに4億5,000万ユーロ(約720億円)を拠出し、EVバスの購入を支援。

  • 補助額は企業規模に応じて1台あたり15万ユーロ(約2,400万円)から20万ユーロ(約3,200万円)。

  • 営業所内の充電インフラも支援。超急速充電器(350kW以上)1基あたり7万ユーロ(約1,120万円)を補助。ただし新規車両の購入とセットであることが条件。

  • 製造から10年未満の既存バスをEV化する場合は最大2万ユーロ(約320万円)、Euro Vの旧型車両の廃車には2万5,000ユーロ(約400万円)の補助。

Real Decreto-ley 29/2021

  • 2021年12月施行。

  • 支援措置(インセンティブ)

  • 自治体は、EVバスの導入に関連して税制優遇措置を適用することが可能。

  • IBI(不動産税)およびIAE(事業活動税)について、最大50%の減税。

  • 営業所における充電設備設置工事にかかる税金について、最大90%の減税。

  • 建設許可に代わり自己宣言制度を導入し、充電インフラ整備の迅速化を実現。

  • 規制措置(義務)

  • 幹線道路網において、大型車向け充電インフラの整備を義務化。

  • 1ステーションあたりの最低出力は、2026年までに1,400kW。

  • 2031年までに1ステーションあたり3,500kWへ引き上げ。

持続可能なモビリティ法(Ley de Movilidad Sostenible)

  • 2025年12月施行。本法により、モビリティ分野向けに約100億ユーロ(約1兆6,000億円)の欧州基金へのアクセスが可能に。

  • EVバスの購入に3億4,000万ユーロ(約578億円)、36自治体における充電インフラ整備に6,900万ユーロ(約117億円)を割り当て。

  • これまでに648台以上のEVバス導入を支援。EVバス1台あたりの補助額は、車両のサイズや定員に応じて8万ユーロ(約1,360万円)から26万ユーロ(約4,420万円)。

▶︎ 出典(クリックで開閉)

公共交通機関のEV化を支援する、アークエルの「EVコンサルティング」

アークエルは、バスや商用車両のEV移行に向けて「移行シミュレーション」「EV車両・充電器導入」「電気工事」「補助金支援」「充電最適化」まで包括的なサポートを提供し、一貫したサービスをご利用いただけます。

特に中部電力社にホワイトラベルで提供しているOPCATでは、複数のバス事業者に対してEVバススマート充電のサービスを提供し、3年以上の運用実績があります。

▶ 参考リリース

中部電力 × アークエルテクノロジーズ 商用EVの最適充電マネジメントシステムのサービス提供を開始 -AIを活用したスマート充電によりEV普及を推進-

課題:EVバス導入に伴う電気料金抑制

バス事業者は急速充電器の導入にあたり、契約kWが増加してしまう懸念が課題になっていました。

解決策:ピークシフトによる契約kW抑制するEVバススマート充電

そこでアークエル株式会社では、契約kWが増えないように30分ごとに急速充電器の充電出力kWを変動させるEVバススマート充電ソリューション「AAKEL efleet」をバス事業者に提供してます。この解決策により、契約kWの増加を抑制しながらも、通常のEVバス運用には問題がない充電を実現できます。

また「AAKEL eFleet」では、車載器の設置やAPI連携ができないEVバスであっても、SoC(充電残量)予測モデルを生成することで、異なるEVバスメーカー車両の一元管理を提供しています。これにより、お客様は特定のメーカーに縛られることなく、自由にEVバスを選択することが可能となります。

「AAKEL eFleet」は、バス・タクシー・トラック・社有車・営業車などの法人向け基礎充電において、多様な運用ニーズやEV導入・運用に関するさまざまなお困りごとに対応しています。

▶ サービス詳細

AAKEL eFleet

また、アークエルは、エネルギー会社、自動車関連会社、公共交通事業者、その他の法人に対して、EV関連の新規事業構築支援をご提供してまいりました。

このトータルソリューションとコンサルティングにより、バス・タクシー・トラックなどの商用車から社有車まで、EVに関連する幅広い法人のニーズにお応えしています。

さらに、アークエル株式会社では電力分野に関する豊富な知見を有しており、さまざまな課題に対して最適なソリューションを提案することが可能です。こうした知見と海外ネットワークを活かし、モビリティ領域における調査・コンサルティングサービスを提供しています。

  • 自社の製品・技術が海外のEV市場でどのような事業機会を持つのか知りたい

  • 社内向けに簡潔で分かりやすいEV調査レポートを作成してほしい

  • 日本におけるEV関連の新規事業開発を検討したい

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