フランスの大手物流企業Jacky Perrenot社はEVトラック導入の先進事例として注目されています。同社の取り組みは、貨物輸送の電動化にあたって直面するCO2排出量の削減、環境規制への対応、充電インフラの整備といった課題に対し、的確に対応しています。
Jacky Perrenot:1945年設立。現在では欧州の運輸・物流分野において主要な地位を構築。従業員数は1万人以上、145を超える拠点をヨーロッパ各地に展開。
同社のEV導入は2020年に開始し、走行距離・充電性能・多用途性といった運用ニーズと法規制に応じて車両を選定しています。
2020年:1台目を導入
2021年:4台目を導入
2025年:都市部の配送に適したIVECO eDailyを40台、中長距離輸送に対応するMAN eTGXを100台導入
IVECO eDaily
サイズ:5,200mm × 2,000mm × 2,100mm
航続距離:約330km
バッテリー容量:111kWh
ZFE(低排出ゾーン)対応を見据え、都市配送向けにIVECO eDailyを導入し、都市部でも制限なく走行できる体制を整備。
IVECO社:1975年設立。ヨーロッパを代表する5つの産業用車両メーカーの統合により誕生し、現在では世界の輸送業界における主要なプレーヤーのひとつ。
MAN eTGX
サイズ:16,500mm × 2,550mm × 3,100mm
航続距離:約500km
バッテリー容量:400-480kWh
MAN Truck & Bus社:1915年設立。欧州有数の商用車メーカー。2023年の売上は約148億ユーロ。バン、トラック、バスに加え、乗客・貨物輸送向けのさまざまなサービスを提供。2015年からTRATONグループ。
TRATONグループ:2015年に設立。傘下にはScania、MAN、International、Volkswagen Truck & Busがあり、世界有数の商用車グループ。バン、トラック、バスの製造のほか、部品販売や金融サービスも展開。
ZFE(Zone à Faibles Émissions:低排出ゾーン)
2018年施行。大気汚染を引き起こす排出量の多い車両の走行を制限するために設けられた区域。
これらの区域を走行する車両は、走行が認められていることを示すCrit’Air(クリテールエア)ステッカーを取得している必要がある。
ZFEは段階的に拡大され、2025年以降は2001年9月30日以前登録のトラックや、一定年数を超えたディーゼル車・ガソリン車の通行が制限される。これによりEVトラックへの転換が事実上求められる環境を整備。
現在、Jacky Perrenot社は約6,000台の車両を保有しており、そのうち800台以上がグリーン車両です。同社は日々の実運用を通じてEVや充電器の最新テクノロジーを学んでいます。その学びを改善に活かしつつ、オペレーションの高い品質を維持しながら、顧客に対して具体的な提案を行い、グリーン車両の普及を積極的に進めています。
グリーン車両の内訳
EV:約140台
バイオガス車と天然ガス車:約600台
再生可能燃料(HVOなど):約60台
HVO(Hydrotreated Vegetable Oil)は再生可能な燃料であり、化石燃料への依存を減らし、CO2排出量の削減に貢献。
グリーン車両の導入方針
2030年までにグリーン車両比率30%、CO2排出量30%削減という目標を掲げ、EVトラックの導入に加え、バイオメタン・水素・HVOなど複数の代替エネルギーを組み合わせた段階的な脱炭素戦略を推進。
HVOについては従来のディーゼル比で最大90%のCO2削減が可能な点を評価し、実運用に導入中。
インフラ整備
営業所や顧客拠点を含む11拠点以上にEV充電設備を自社で整備。
グリーン車両の運用継続性を支えるためのインフラ構築を推進。
フランスにおけるEVトラックの普及は急速に進んでいます。2020年にはわずか6台だったEVトラックの台数は、2025年Q3時点で2,879台に増加しました。市場シェアも0.02%から3.28%へと大きく拡大しています。

出典:ヨーロッパデータベースのデータをもとにアークエル株式会社が作成
この成長は、「法規制」と「支援」の両面の効果が出ている結果です。Jacky Perrenot社が直面した課題は他の多くのフランス企業にも共通しており、同社の事例から現実的なヒントを得て、想定される障害を事前に回避しながら、EV導入を加速させるきっかけとなるはずです。
アークエル株式会社では、物流部門におけるEVトラック導入支援の一環として、グリーンコープ生活協同組合くまもと様への支援を行っています。
▶ 参考リリース
【EVトラックの最適充電マネジメントシステムのサービス提供を開始
グリーンコープくまもと × アークエルテクノロジーズ】
課題:EVトラック導入に伴う電気設備コスト
グリーンコープ生活協同組合くまもと様の西部センターでは、EVトラック導入にあたり、当初は新設キュービクルの設置が必要と検討されていました。 しかし、新設キュービクルの導入には数千万円規模の費用が見込まれており、導入コストが大きな課題となっていました。
解決策:既存設備を活かした事前シミュレーション
そこでアークエル株式会社では、「既存電気設備の最大限活用」と「新規電気設備の最適化・最小化」を目的とした事前シミュレーションを実施し、以下の提案を行いました。
既設キュービクルの設備容量内でEV充電を制御するEV充電マネジメントシステム「AAKEL eFleet」の適用
新設キュービクルが不要となる設備構成の実現
これらの提案をご採用いただき、大規模な設備投資を回避しながらEVトラック導入を実現しています。
アークエル株式会社では、EVトラックや充電器の選定に加え、電気設備を含めた総合的な検討が可能です。電気設備まで踏み込んだ検討を行うことで、EV導入にかかる初期費用の削減が可能となり、削減できたコストをEVトラックの追加購入に充てるといった柔軟な導入計画も実現できます。
また、車載器の設置やAPI連携ができないEVトラックであっても、SoC(充電残量)予測モデルを生成することで、異なるEVトラックメーカーの車両を一元管理できるソリューション「AAKEL eFleet」を提供しています。これにより、お客様は特定のメーカーに縛られることなく、自由にEVトラックを選択することが可能となります。
「AAKEL eFleet」は、バス・タクシー・トラック・社有車・営業車などの法人向け基礎充電において、多様な運用ニーズやEV導入・運用に関するさまざまなお困りごとに対応しています。
▶ サービス詳細
また、アークエル株式会社は電力分野に関する豊富な知見を有しており、さまざまな課題に対して最適なソリューションを提案することが可能です。こうした知見と海外ネットワークを活かし、モビリティ領域における調査・コンサルティングサービスを提供しています。
自社の製品・技術が海外のEV市場でどのような事業機会を持つのか知りたい
社内向けに簡潔で分かりやすいEV調査レポートを作成してほしい
日本におけるEV関連の新規事業開発を検討したい