第7回
2026/3/24
※本記事では、日経MOOK『地域と歩むカーボンニュートラル経営』を読む際に、「どのポイントに目を向けるとよいか」「自社では何がポイントになりそうか」を考えるためのヒントを、ブログ形式でまとめています。本編とあわせてお読みいただくことで、内容をより身近に感じていただけます。
GXリーグは、企業が自主的に排出削減に取り組みながらカーボンニュートラルの実現を目指す取り組みの場です。その達成に向けてGX-ETS(排出量取引制度)が運用されており、企業ごとの排出量に上限を設定し、その余剰や不足を企業間で取引できる制度として整備が進められています。第1フェーズである現在は自主参加を基本としていますが、2026年度から始まる第2フェーズでは対象企業には排出量取引が義務付けられます。
GXリーグやGX-ETSについて、「大企業の話」「うちは対象外」と感じる中小企業は少なくありません。実際、排出削減義務対象となるのは主に大企業であり、中小企業の多くは規制対象にならない見込みです。ただし、「直接対象ではないから無関係」とはならず、間接的な影響を受ける可能性が高いです。

GX-ETSの第2フェーズでの義務対象は大企業が中心ですが、排出削減の取り組みは一社だけで完結せず、その要請はサプライチェーン全体に広がっていきます。大企業がバリューチェーン全体の排出削減を進めるなかで、サプライヤーである中小企業にも、排出量の報告や削減協力を求められるケースが増えていくと考えられます。
また、カーボンプライシングのコストは、エネルギー価格や製品価格に転嫁される可能性があります。例えば、発電部門で排出枠の有償オークションが導入されると、CO₂を排出するための枠を企業が購入する必要が生じ、新たなコストが発生します。さらに、化石燃料への課金が導入されれば、燃料自体のコストも上昇します。こうした影響により発電コストが高まり、その分が電気料金に反映されることで、電力を利用する企業のコスト増加につながります。同様に、素材メーカーなどCO₂排出量が多い業界では、排出枠の購入で追加コストが発生すると、その分は製品価格に転嫁されます。その素材を仕入れる中小企業にとっては、原材料価格の上昇という形で影響が現れます。
このように、自社が直接の制度対象でなくても、取引コストの上昇や顧客からの要請という形で影響を受けるため、地域の中小企業であっても無視できない重要なテーマとなっています。
こうした変化を見据え、自社のエネルギー使用量やCO₂排出量を正確に把握し、できる範囲から削減に取り組むことが重要です。将来、取引先から排出データの提出を求められる可能性もあるため、排出量の把握や省エネ施策による削減に取り組んでおくことが有効とされています。また、J-クレジットなどのカーボンクレジットの価格動向を把握しておくことも重要です。自社の削減量が市場価格でどの程度の価値になるのか理解しておけば、今後の低炭素投資や事業判断の一つの指標となります。
詳しく知りたい方は、日経MOOK『地域と歩むカーボンニュートラル経営』のPART3をご覧ください。