UCサンディエゴ校マイクログリッドの見学会

機会を頂き、UCサンディエゴ校(以下、UCSD)のマイクログリッドを見学してきましたのでレポートします。

UCSDは校内をマイクログリッド化していることで有名です。2018年にはGreentech MediaのGrid Edge Innovation Awardを獲得しています。校内は1,160エーカー(=470ヘクタール 東京ドーム約100個分)とすごく広いのですが、マイクログリッドにより、校内で必要な電力の85%、冷房の95%、暖房の95%を自給しているそうです。

写真:エネルギー関連施設が集積している地域

マクログリッドの中心となる制御システムはJohnson Controlsの製品を使用しており、その制御システムの拡張機能として地元の電力系ベンダーのGeneral AtomicsとEDSA Micro Corporationが構築したPaladinという最適化システムを使っているとの事。Paladinは1秒に26万データを処理する事が可能だそうです。また、Paladinを補完するためにVPower Softwareという市場価格シグナルや天気予報等を連携するソフトウェアを導入しているようです。ちなみにスタンフォード大学キャンパスの熱供給システムもJohnson Controlsを制御の基盤とし、その上にAIをベースとした拡張機能を作り込んでいます。

マイクログリッド内の設備は、現状(2020年5月時点)以下の構成になっているそうです。
• 天然ガスコージェネ 合計 30MW
• 太陽光発電 合計 2.4MW
• 燃料電池(メタンガス) 2.8MW
• 太陽熱温水システム 300KW
• 蓄電池
 − 5MWhと250KWhのリチウムイオン電池
 − 10KWhのリチウムポリマー電池
 − 180KWhのセカンドライフバッテリーシステム
 − 28KWhのウルトラコンデンサー
 − 7Mガロンの熱貯蔵システム
 − 400KWhの鉛電池
• 135箇所のEVチャージングポイント

コージェネについては通常の天然ガス発電と比較し、45%〜50%の効率化、75%のCO2排出量の削減を実現しているとの事。

太陽光パネルはキャンパスのあちこちに設置されており、駐車場の上にも取り付けられています。

写真:キャンパス内のソーラーカーポート

他にも水素や熱、蓄電池等の様々な分散電源の実証をしています。蓄電池は様々な会社の蓄電池のテストをしているそうで、実証の進捗によって、随時入れ替えが行われているそうです。蓄電池ステーションの入り口にはBYDの文字がありました。

写真:駐車場の中に熱供給システムの大きなタンクが

写真:蓄電池ステーション。BYDのものもあるようです

キャンパスのあらゆる箇所にEVチャージングポイントがありますが、その中ではV2Gの実証も行われていました。止まっている車の中にはUberのステッカーをつけている車もいました。UCSD関係者の車は1時間以内の充電が無料なので(充電時にチェックがないので)、電気泥棒していくUber車も多いとの事でした。

写真:EVチャージングポイント、V2Gの実証も

最後に、今回の視察で印象に残ったことが2点。

まず、USCDのマイクログリッドの解説文のどこかに書いてあってなる程と思ったのですが、
「電力会社は歴史的に保守的な会社であるのに対し、大学は技術の理論と応用の境界線を常に広げに行く。この事が、いくつかのスマートグリッドに関する先進技術の実証の多くがキャンパスから始まる理由の1つである。」
とのこと。スタンフォード大学もキャンパス全体で最先端の熱供給システムを導入しています。我が国の大学はどうでしょうか?

次に、USCDのマイクログリッドの見学希望は非常に多く、断ることも多いそうですが、日本からの見学希望は月に数件なのに対して、中国と韓国からの見学希望は非常に多いそうです。アグレッシブに技術を吸収しに来ているとの事。別な場所でも同様の事を聞きました。我が国も、もっと危機感を持たなければならないと感じます。

文責 アークエルテクノロジーズCEO
宮脇 良二

2019年5月20日

写真は全て筆者が撮影

参照
USCDマイクログリッド紹介サイト https://building-microgrid.lbl.gov/ucsd
GTM Grid Edge Innovation Award https://www.greentechmedia.com/articles/read/the-2018-grid-edge-innovation-awards#gs.ck3igc