スタンフォード大学のエネルギー②New Central Energy Facility

スタンフォード大学のエネルギー供給の中心であるNew Central Energy Facility(CEF)を訪問して来ましたので、レポートします。
CEFはスタンフォード大学の北東のゴルフ場の側にある施設であり、2014年に完成した施設です。


写真:上空からのCEFの全体写真 Stanford University HPより
https://sustainable.stanford.edu/campus-action/stanford-energy-system-innovations-sesi)

スタンフォード大学は2009年10月にEnergy and Climate Action planをリリースし、学内全体の低炭素化に向けたロードマップを示しました。その中でthe Stanford Energy System Innovations (SESI) プロジェクトという学内のエネルギー供給に関する抜本的な見直し計画を策定し、その中心がCEFになります。今後スタンフォード大学のエネルギー戦略のトップとの会談等もありますので、ロードマップおよびSESIの詳細についてはまた別途レポートしたいと思います。

CEFができる前は天然ガスベースのCombined Heat and Power(CHP)で学内のエネルギー供給を行なっていましたが、化石燃料の燃焼による二酸化炭素排出を抑えるために、グリッドからの電力供給をベースとした施設へとリニューアルを図りました。
ちなみに電力の65%が太陽光を中心とした再生可能エネルギーとなっています。エネルギー構成についても別途レポートします。

写真:CEF正面からの写真と保護されている樹齢100年を超える木
   CEFの建物は建築物としても評価が高く、いくつか建築関連の賞を受賞している
   スタンフォードはサステナビリティと景観の観点から木の保護に力を入れている
   撮影 宮脇 良二

施設は蓄熱タンク、高圧変電所、熱回収チラーのオペレーション設備とオフィスおよびミーティングスペース等で構成されています。

蓄熱タンクは5Mガロンの冷水タンクが2つ、2.3Mガロンの温水タンクが1つの計3つあります。CEFの経済性を高めるための中心の設備です。電力の最も安い時間帯に熱回収チラーや他の設備と一緒に稼働させ蓄熱を実施し、各校舎が必要な際に熱を供給しています。そして蓄熱の柔軟性・最適化によりヒートポンプやチラー、温水器より効率良いエネルギー供給を実現しています。

高圧変電所から供給される電力の容量は100MWで、現在のスタンフォードの消費量の2倍を確保しており、これは住宅10万件分の容量程度になります。こちらで供給される電力の3分の1はCEFで消費され、あとの残りはキャンパスの建物で消費されています。

写真:熱回収チラーの一部。施設の見学はヘルメットと安全グラスを着用。
   撮影 宮脇 良二

そして熱回収チラーがCEFのイノベーションの中心(Star of Facility)とのこと。まず、スタンフォードは授業や研究だけでなくスポーツも盛んで(ゴルフはタイガーウッズ、テニスはマッケンローを輩出。アメフトや陸上も全米トップクラスです)、エネルギーの消費の仕方が多様です。そのため、分析したところ、エネルギー消費の75%が冷却と暖房がオーバーラップしているということが分かり、その特徴を利用した構成をとっています。温水はその88%が冷却からの排熱を利用して作られており、以前より水の消費を18%も抑えられたそうです。規模的にも過去に例を見ない大きさとの事。制御システムはJohnson Controlsという会社のものを使用しています。

写真:コントロールルームの内部。コントロールルームは24時間365日2名体制で管理。
   撮影 宮脇 良二

以上が概要となりますが、CEFの成果として二酸化炭素の排出量の以前のピークと比較して68%の削減、水の消費量は18%の使用抑制となっています。

文責 アークエルテクノロジーズCEO
宮脇 良二

2018年10月11日

 

参考:Stanford HP https://sustainable.stanford.edu/new-system